シーフードショー2009:(その1) 大手3社ブース
訪問日 「2009/07/22・24」 ※最近の過去記事は→ こちら
昨年 に続いて、今年も東京ビッグサイトへ。
「 ジャパン・インターナショナル・シーフードショー 」
東京会場2007/07/22-24
昨年と同じく、ブログの趣旨を説明して撮影許可の “プレスカード” を取得。
さて、何から書こうかな・・・。水産業界のビジネスショーなので、とりあえず大手ブースを見てみれば、業界の中でもわりと大きな動向がわかるかも。
というわけで、まずはこちら。
“クロマグロ完全養殖!”が目をひく、「マルハニチロ」 ブース。
この種の展示会でも、出店ブースの大きさは「小間(こま)」という単位で表す。
シーフードショー東京会場ではタテヨコ3メートル四方(=9平方メートル)が1小間。
単一企業のブースとしては、今回は業界大手のマルハニチロ、日本水産(ニッスイ)、そしてニチモウの3社が、それぞれ10小間の最大規模となっている。
ちなみに築地の大卸である 「大都魚類」 なども、マルハニチロの子会社。
マグロの養殖といえば天然の幼魚をつかまえ、これを育てる “畜養” が主流。
卵からの完全養殖は難しく、業界リーダーとしての力量を示すには格好の素材。
水槽の中、かなり小さい稚魚なので撮りにくかったけど(笑)、動画はこちら。
マルハニチロのブースでは、この “クロマグロ完全養殖” を正面コーナーのアイキャッチ展示として設置。
そのほかに下記4テーマのステージを設置。
いずれも試食つき♪
・かんぱちステージ。
・介護食ステージ。
・えびコーナー。
・健康創造コーナー。
どれも面白そうなのだけど、特に 「介護食」 に着目したのは実に時勢柄タイムリーな出展プラン!として評価できると思う。
何はともあれ、同社が “美味しくて食べやすく、栄養価にも優れる” として提案している介護食メニューのサンプル展示がこちら。< 写真:いずれもクリックで拡大表示 >
ホキの野菜あんかけ定食、サワラのムニエル・トマトソース定食。
( このうち、ホキについては後述する他社の展示にも出てくるので要チェック! )
やや残念なのは、それぞれのメニューについて、塩分・カロリー・脂肪・タンパク質など栄養価の内訳が示されていなかったこと。業界のプロ向け展示としては、そのへんを知りたい参観者がいることを想定すべきだと思うのだけど。
なお現状、食材をペースト状にして成形、という製法が中心のようで・・・。
「ジェイミーのスクール・ディナー」 で検証されたような子供向けジャンクフードが小学校の給食で提供されている嘆かわしさ・・・ってのとは別次元の話としても。
幼少期から “本物の味” を実生活で経験学習してきた中高齢者には、やはり、もうちょっと素材そのままの見た目や食感を味わってほしいと思うのだけど。
( この意味では、ワタシは魚介類加工品としての “骨抜き魚” 賛成派 )
試みの方向性としては高く評価されて良いものだと思うので、今後に期待!
あと余計なお世話かもしれないけど(汗)、ブース内でプレゼンテーション・ステージを開催するときに、コンパニオンを “壁の花” にしているのは営業リソースの無駄遣い。
通路に出して、呼び込みやチラシ配りを分担させればいいのに・・・☆
さて、次に拝見するのは同じく大手のこちら。
「日本水産(ニッスイ)」 ブース。
一見してわかるのは、今回のニッスイは大胆に訴求テーマを絞りこんでいること。
ずばり、それは 「 ホキを家庭の食卓に普及させよう!」。
一点突破を狙う展示プラン!という思い切りの良さは、マルハニチロを追う立場のチャレンジャーらしくて個人的には非常に好印象。
コンパニオンさんが配ってくれる試食サンプルはホキ。
展示されている料理バリエーションもすべてホキ。
そして配布パンフのレシピもホキ!
< 「ホキ」 ご参考リンク・引用 >
・「ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑」 様:
“ 多くはニュージーランド、オーストラリアからの冷凍輸入品。
白身で非常に味がいい。それで冷凍の商材としても評価は高い。”
・「AEON/おさかな学習館」 様:
“ 1969年から日本の漁船によって切り身用に漁獲が行われたさかなです。近年、すけそうだらが減っているため、ホキが安価で安定的な原料として、冷凍食品には欠かせないさかなになりました。しかし最近では、ホキもだんだん獲れなくなってきていて、漁獲量が制限されてきています。 ”
( つきじろう注: 1969年といえば、だいたいワタシが生まれたころ・・・☆ )
ただ、以前にはタラの代用魚として使われ、ニセモノ扱いの悪印象がひろまった時期もあったようですね。
・「手前、板前、男前」 様:
“ ロコ貝はアワビではないし、ウミヘビは穴子ではないし、ナイルパーチはスズキではないし、ホキはタラではないし、キングクリップはアマダイではない。好き勝手に名前を付けるのは犯罪だと認識してほしい。 ”
・「勝川俊雄 公式サイト」 様:
( ニュージーランド当局によるホキの漁獲制限について )
“ ノルウェーのカペリンでもわかるように、魚はちゃんと残せば、ちゃんと回復する。早めにブレーキを踏めば、それだけすぐに回復をする。自然変動が原因だろうと、何だろうと、魚が減ったら、漁獲圧をゆるめるのが世界の常識であり、資源が減ったら、漁獲圧が強まる日本のマイワシ漁業のような状態はあり得ないのである。獲りたい放題獲っておいて、「地球温暖化が悪い」とか居直っているから、漁業は衰退を続けるのだ。 ”
上掲リンク、どの記事もそれぞれ非常に参考になる興味深い話なので、お時間のあるときに、ぜひ!ご覧いただきたいのですが・・・☆
ともあれ。
それぞれのメニューの提案方法について特徴的なのは、さきほどのマルハニチロでは レストラン店舗や給食施設での採用 を狙っているのに対して、こちらは、あくまでも 家庭の食卓で食べてもらうことを想定した、小売店向けの展示プラン になっていること。
いわゆる “内食” 。展示パネル、ご興味あればクリック拡大してご参照を♪
さて大手といえば・・・
世界最大の魚市場たる、我らが築地市場のプライドを一身に背負って(!?)、今年も出展しているのがこちら。
「中央魚類」 ブース。
“ 毎日が産地直送、築地こそ最大の漁港、集荷力No.1 ”!
・・・ “市場価値の再発見” を謳う、その心意気や、良し!
ブース自体は4小間と、やや小さいのだけど・・・
展示されたサンプルの見事さは 「さすが!」 と誰もが感嘆するレベル。
ただし・・・ うーん、あくまでワタシ自身は “ド素人” なので、とんでもない勘違いや理解不足がある可能性は非常に大きいのだけど。
こちらの展示は、とことん 「うちは何でも最高のネタを揃えているよ!」 という主張だけが伝わってくる印象。
ネタの良さは、なるほど確かに、よ~くわかりました。
では、それをどうやって小売業者が売るか?
そして、それをどうやって消費者に食べてもらうか?
そのへんを、もうちょっと何か見せてもらえると嬉しいんだけど。
( もしかすると “大卸の仕事” としては、そういう細かいことまで発言するのは慎むほうが良い、という業界慣行のような判断があるのかな? )
ちなみに、各社のホームページも同様で・・・
マルハニチロ は、ぜひ消費者に読んでほしい!というレシピや知識を満載したサイトを出して、読者をひきつけ、一般読者としても繰り返しアクセスして未読コンテンツを読みつくしたい、と思えるサイトを作っている。
ニッスイ のサイトも、まあ最終消費者向けではなくても中間業者向けに、なかなか興味深く読ませるコンテンツを揃えている。
他方、中央魚類 のサイトは・・・、
うーん、すごく “カタい” ですねー(汗)。とっても真面目なんですけど、「これは面白そうだな!」と、読者をひきつける構成と言うのは、ちょっと難しいかな・・・
( 同じく大卸で、前述の「大都魚類」のサイトも印象は同じ )
最新情報を伝える ブログページ を見ても、ほとんど 「今日の良いネタは、コレだよ!」 という情報が中心で・・・。
あ、ところで中央魚類さんのブースで、ちょっと面白いものが。
こちらの “商談コーナー”。
茶菓子の代わり に、出されていたのは・・・☆
※ 以後、のんびり夏休みペースで・・・ 更新頻度がスローダウンします。
シーフードショーの続きは、「試食コーナーでお寿司を食べまくり~♪」ってな
お気楽モードで、ぜひ(笑)
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コメント
お久しぶりです。
シーフードショー、行きそびれたのでこれだけの“レポート”は参考になるだけでなく、悔しさが募ります(笑)。
続きをみると余計に悔しくなるかもしれませんね(笑)。
投稿: ヤマトシジミ | 2009年7月26日 (日) 06時41分
興味深いです。
行ってみたかったですね。
ホキは代用魚というイメージしかありませんでした。
本来の名で普及を図るのは意義あることと思います。
そのホキも資源量は減っているようですが、
ニュージーランドの資源管理は機能しているようですね。
正当な評価を受けて欲しいものです。
投稿: なべひろ | 2009年7月26日 (日) 08時55分
こんにちは。一昨日、三浦市土産で三崎のマグロチップスを会社のおやつで食べたプチトマ子です。
こういうイベントがあるのを知りませんでした。楽しそう。
魚の知識も増えるし、流通業者など普段は表に出ない方たちと直に言葉を交わせる貴重な機会ですね。
投稿: プチトマ子 | 2009年7月26日 (日) 11時09分
◆ヤマトシジミ様、
どもども!、こちらのシーフードショーは本当に毎年、
見る価値アリ☆ですよ~♪
とりあえず続きも1本、書いてみましたが・・・
さらに悔しくなったらご勘弁を(笑
◆なべひろ様、
ホキの復権・・・というか名誉回復ですかねー。
代用魚とされていたものを、本来のアイデンティティで
あらためて正当に評価するのは水産業会の急務だろうと
思います。
漁業規制の仕組みといい、課題の多い時代ですね。
◆プチトマ子様、
おっ!?、世界ヨーヨー拡販キャンペーンから戻られて
今度は三崎漁港へとは、まさに東奔西走ですね(笑
> イベントがあるのを知りませんでした。楽しそう。
はい、とても楽しいですよ!
また個人的に特に嬉しかったのは、イベントの主催者が
ブログもまたメディアの一つと認識して、報道用の
プレスカードを快く交付してくれることでした☆
投稿: つきじろう | 2009年7月26日 (日) 13時28分
行きたかったけど、とても休める状況ではなかったです。
有給休暇、全然使ってないなぁ・・・・
それはともかく、シーフードショーはやはり業界のショーですし、
荷受は小売の領域には足を踏み込まないというのが明確に
なってますね。
あと、
>幼少期から “本物の味” を実生活で経験学習してきた中高齢者
というのは意外に実態のない思い込みかも。
戦後はまともな魚は食べていないし、その後は味の素の全盛期、
少なくとも都会では今の方が“本物の味”に出会えるんです。
投稿: 魯 | 2009年7月26日 (日) 23時12分
◆魯様、
どもども、お仕事大変そうですがお身体を大切に…!
> 荷受は小売の領域には足を踏み込まない
ああ、やっぱり業界の各プレイヤーが発言すべき範囲の
線引きがあるんですねー。
> やはり業界のショーですし、
一般客としてお邪魔しつつ、「あちら側」のプロ同士の
会話を伺えるチャンス!という意味では、築地そのもの
にも通じる楽しさがありますね。
> 都会では今の方が“本物の味”に
「いまどきの味」という話になると、魯様の昨年の
記事・コメントが興味深かったです・・・☆
「どうして同じ味なのか?」2008年08月15日
http://blog.goo.ne.jp/lophius_2005/e/44f882a213e475850d529dc2c9a4f7c9
投稿: つきじろう | 2009年7月26日 (日) 23時31分