「千秋 はなれ」で魚河岸クッキングを食べる会
訪問日 「 2006/09/30 」 「千秋 はなれ」
お店の情報は HP 参照。
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夕暮れどきにトンボの姿。
秋ですねぇ。。。
ああ、ひさしぶりに まとも な築地ネタを書ける!(笑)
かねて予告(上掲HPの「インフォメーション」)のあった通り、漫画『築地魚河岸三代目』の単行本で、巻末に連載されている「魚河岸クッキング」から選ばれたメニューを、実際に食べられる・・・との催し。
題して 「 小川貢一の魚河岸クッキングを食べる会 」。
お一人様、料金は8,000円(ワンドリンク付き)。
予約した名前を告げると、すでに席が決まっていて掘りゴタツのテーブル席に 男性ばかり5人 ・・・この5名様は、今回予約したなかで “1人客”だけ を1テーブルに集めたそうな。
うーむ、お店の気づかいには感謝するが、個人的な気持ちとしては 女性のいるテーブル に混ぜてもらったほうが(以下略さて、予約客がみんな揃うのを待ってから店主が口上を述べて始めるのか・・・?と思いきや、それなりに客が集まったテーブルごとに順次、静かにバラバラなスタートとなった。
色気のない 我々5人も乾杯して、初対面ながらもけっこう積極的に話題を振って、徐々に盛り上がり始めた。先付は2品。
写真右の「雲丹の卵焼き」は中国産のウニを使用し、酒と塩をアタリ鉢で摺って焼きあげたもの。
ウニの風味は軽く、食感は少しボソボソしている。
個人的には、これには何かトロミのある餡をかけてみたいところ。写真左の「秋刀魚の角煮」は根室産のサンマを使用。
うーん、申し訳ないけど筆者の味覚では、これは角煮というより、“蒲焼の缶詰”と区別できないかも。。。☆
もちろん、味そのものは悪くない。続いて、お造りで「やがらの昆布締め」。
ヤガラは三重産で、あまり食べる機会のない細長~い魚なので興味あり。
そのまま食べてみると、昆布味ばかりで身の味がわからない。
しかし、ちょっと醤油をかけてみると、たちまち旨味の相乗効果で一気に華やかな白身の香味が姿をあらわした。これはうまい!これもお造りで「戻り鰹のカルパッチョ」。
気仙沼で水揚げされた戻りカツオは、まさにアブラが乗り始めたところ。
血生臭さは皆無で、身質は上々。
この夏、なにしろ筆者はカツオをたらふく食べたので味の違いはよくわかる♪
皮目をあぶって、オリーブオイルとバルサミコ酢をかけてある。
本日の献立のなかで、これはぜひワインと一緒に味わいたい一品だった。焼き物は「甘鯛の一夜干し」だが、15分ちょっと待たされてから出てきた。
テーブルの会話が盛り上がってるからいいけど、やはり待ち時間としては少し遅い。
そろそろ調理場も立て込んできて大変なのかもしれない。
出てきたものを見ると・・・うーん、ちょっとお皿の 景色 が寂しいかなあ。
ここは笹の葉なり皆敷なりをあしらって、 秋の風情 を演出してほしいところ。
甘鯛は京都産で、じっくり遠火で焼いたのか皮にはコゲ目をほとんどつけずに、それでいて香ばしさ満点の焼きあがり。そして身のほうは中までしっとり。
文句無しの按配でGOOD!揚げ物は「鰻の竜田揚げ」。
ただいま知名度上昇中の“坂東太郎”を使ったもの。
うまい!・・・うまいんだけど、竜田揚げだけに、衣と油の風味が際立っている。たぶん、これだけを食べたときに「さすが坂東太郎!」と納得するのは難しいかも(笑)。ちなみに身を割ってみると、こんな感じ。
身の厚みがあるほうではないので、食べごたえのある料理法としては、このような竜田揚げがベストだったのかもしれない。 酢の物は「蛸のマリネ」。
タコはアフリカ産の冷凍ものだが、これは『築地魚河岸三代目』でも主張されている通り、柔らかさを重視したい料理ならアフリカ産が断然有利なので、国産とか生とかにこだわらず、さっさとアフリカ産を選ぶのが良い、とのことだろう。
特筆するほどの味ではないが、献立のなかで「箸休めの酢の物」としては良い品だった。そして登場した椀物、
「やがらと甘鯛の潮汁」。
今回「うまい!」と、思わず目を見開いた一品がこれ。
上品な料亭風の味ではなく、さすが魚河岸!と快哉を叫びたくなるような、野趣のパンチが炸裂☆
塩も強めに効かせているが、これが一層パワフルな印象を盛り上げて実に見事♪
この椀物だけでも、この催しに来てみて良かった!と思う。そろそろ終盤、ご飯ものに移って、
「時鮭の手巻きご飯、山盛りイクラ添え」。
店主がテーブルをまわって「海苔が湿っけないうちに、どうぞ」とすすめてくれたのだが・・・、
その直後に当店の宣伝部長(?)でもある 平野文 氏 が我々のテーブルにご挨拶にまわって来てくださったので、モグモグ食べながら会話するわけにもいかず、それでも彼女の話は楽しいので、もどかしい「おあずけ」を食らう(笑)。
海苔は極厚、イクラもたっぷり♪だが、期待した「時鮭」の身は、小さ~いカケラのようなものが少し混じっている程度だったのが残念。最後に焙じ茶と、「茂助だんご(福茂)」のワラビ餅をいただく。
これは事前の献立表には無かったが、ひんやり広がる甘みが清々しく、たいへんシアワセな気持ちに。
途中、お店で酒類担当の“呑むリエ”さんがテーブルにきて面白おかしい酒の話題を披露してくれた。
彼としてはワインも揃えたいのだが、それは店主が反対していて・・・というところで店主本人が割り込んできて茶々を入れたり、なかなか楽しませてくれる。
締めのお勘定と解散も各テーブルごとにバラバラで、いずれも店主、平野文氏、お店のスタッフが店先に並んで大変丁寧に、親しみのもてる愛想の良さで見送ってくれた。
< 筆者の感想 >
今回、「シロウトでも作れる料理」として漫画の単行本に載せたものを「プロがお店で、お金をとって客に食べさせる」という前提から、いろいろビミョーに難しい面があったのでは・・・と思う。
上記、それぞれの料理について“プロの料理としては物足りない”と感じられる品があったのは正直なところ事実だが、そもそも“素人でも失敗しない料理”という条件で考えれば、プロの技を必要とするレベルの味を求めるのは難しいだろう。
前出の平野氏も、自身のブログで「お金のとれる料理とは?」と自問しておられるのだが、今回の企画は、まさにその問いかけにベストマッチの課題だったかもしれない。
シロウトが家庭で作る料理として提案された献立を1人前8,000円で提供するには、随所に “お金のとれるプロ”の存在意義 を納得させるだけの仕事を、お客に認識させる必要があるだろう。
それについて平野氏は前述のブログ記事で、目利きや包丁づかいといった要素を挙げておられる。
それらも含めて、この日の「潮汁」で示されたように、
「 基本のレシピが同じでも、築地のプロが作ればこんなに素晴らしい“職人の仕事”になる! 」
・・・と、客を納得させてくれるような料理を、この企画では今後も期待したい。
【 次回予告 】 次は11月18日、目玉となる素材は「岡山からのサワラ」。
漫画の読者ならご存知の通り(以下は漫画からの受け売り)、サワラという魚は生の状態だと身が割れやすく、ふつうは刺身や寿司ネタには向かないとされる。
しかし岡山県を中心とする地域では、身が割れないよう特別の注意を払って漁獲・流通させる基準を作り、これを守れる業者としか取り引きしないことで全国的にも稀有な「サワラの刺身、サワラの寿司」の食文化を実現したという。
じつは岡山で消費されるサワラの多くは岡山産ではなく、この基準を守って取り引きをする全国各地の業者から集められたもの。
その「岡山クオリティ」のサワラを築地で賞味しよう、というのが次回の企画だとか。
【 余談 】 また勝手に宣伝モードで恐縮ながら、漫画『築地魚河岸三代目』の新刊が昨日から発売。
収録された第一話は。。。ははーん、これ か。うん、あれは確かに美味しかった♪
【 さらに余談 】 参考までに、この日の筆者の朝ごはんは、これ。
ラーメン二郎・三田本店:
ラーメン大・豚ダブル
( “大ダブル”、750円 )
・・・ああ、これでまた あのオジサン に
「 つきじろう 」
と呼ばれてしまう・・・☆
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